茶道のイメージ。それって本当??
最終更新: 2020年4月16日
ここでは茶道についてよく聞かれることをまとめてみました。 私も茶道を習い始めてから意外に感じることもあり、発見の連続です。
表とか裏とか色んな流派がある?
茶道って家元とか流派とかいろいろ複雑そう…そんなイメージがあるんじゃないでしょうか。
代表的には、千利休の孫である宗旦から分かれた表千家、裏千家、武者小路千家の三千家があります。そこからさらに分家し、様々な流派に分かれているのです。
では、それぞれ何が違うのでしょうか。
成り立ちとしては、宗旦の4人の息子のうち、次男の一翁宗守(いちおうそうしゅ)が武者小路千家を、三男の江岑宗左(こうしんそうさ)が表千家を、四男の仙叟宗室(せんそうそうしつ)が裏千家を興しました。
もともと宗旦が保有していた屋敷と茶室不審庵を受け継いだのは三男で、利休の茶の湯を正当に継承しているのが表千家です。
宗旦は隠居後に屋敷の裏に今日庵という茶室を建てましたが、それを受け継いだのが四男で裏千家という経緯です。次男は養子に出されていましたが、後に武者小路沿いに茶室を構えたことから武者小路千家となりました。
名前からも表千家が主流のように思いますが、実は現在最も稽古場が多いのは裏千家です。
表千家が利休の作法に厳格に倣っているのに対し、裏千家では時代に応じた考え方や制度を取り入れ、女子向けの教育としても大衆への普及を推進してきました。
具体的なお点前においては、帛紗の色や、抹茶の泡立ち、お辞儀の仕方など異なる点も多くあります。
例えば、よくお店で出される抹茶は、表面全体にきめ細かな泡が立ち、クリーミーな口あたりだと思います。それは裏千家の点て方で、表千家ではあまり泡を点てません。

ただ、基本となる思想や全体の流れは共通しているので、どの流派でも茶道の魅力は十分味わえると思います。
また、三千家とは異なる大きな流派として遠州流などがあります。 これは、利休が秀吉に切腹を命じられたことで千家が武家社会と距離を置いたのに対し、武家の中でも茶の湯文化が根付いていたため、武士を中心に発展した流派です。
利休のわび茶と異なり、式典での茶会を前提とした比較的豪華な趣向と、帛紗を右腰に付けるなど(左腰には刀を差すため)、武士の作法を取り入れたお点前が特徴です。
お茶碗は回して飲む?
お茶を飲むときには回すらしい、というのはどこかで聞いたことがあると思います。

茶碗の正面を避けるため、裏千家では二手ほど時計回りに動かします。 ちなみに私はぐるぐる2周分くらい回すのかと思っていました… 1回転してしまったら正面を避けられませんね笑
飲んだ後で口をつけた箇所は軽く清めますが、特に濃茶は汚れやすく、少し遠慮し敬意を払う形で正面は避けるということでしょう。
茶碗は飲み終えた後で改めて正面から拝見する、という流れもあります。
ちなみに、茶碗の正面は柄のあるものならわかりますが、楽茶碗のように無地の場合は、貫入や割れ、釉薬のかかり方などで、亭主が正面を決めます。
また、受け渡しの時には相手に正面を向けることが決まりです。 そのため、お点前の中では亭主が客に茶碗を出す時や、客が茶碗を返す時など、茶碗や茶道具を回すしぐさが何度か出てきます。
相手のことを考えての心遣い。
茶道のお点前はやたらと細かくて、未熟な私は「なんか面倒だなあ」と思ったりもしますが、そうした心遣いをベースに体系化された部分が大きいようです。
正座しないとダメ?足はしびれないの?
もちろん正式なお茶会は正座です。
ただ、私が通っている教室ではお稽古中は無理しなくてOK。ありがたいですね。
足のしびれは体重が一点にかかることで圧迫により生じるため、なるべく腹筋にも力を入れて重心を前に置き、体重を分散させた正しい姿勢を取ると良いようです。 茶道の先生は姿勢が良いため、足がしびれにくいのかもしれません。
また、利休の時代には正座ではなく胡坐(あぐら)などが正式な座り方だったともされます。
正座はすぐに立ち上がりにくいため、武士同士でも刀を抜くことがないよう、茶室には正座が根付いたという説があるそうです。

抹茶は苦くない?
抹茶=苦いイメージですが、一般的な薄茶は煎茶やコーヒーよりまろやかだと思います。
お菓子を食べきってからお茶を飲む、という流れなのでとても美味しく飲み切れます。 (きっと私が抹茶好きということは置いても…)
一方で、正式には濃茶というお茶っ葉の量が多くてどろどろ状態のお茶もいただきます。 (下の写真のような外観) こちらは最初はやや飲みづらいかもしれません(私も普段は飲みません…)。

ただ、濃茶の方がお茶のうま味もよりしっかり味わうことができるので、より上質なお茶が使われることが多く、慣れれば楽しみが広がります。
また、上質なお茶の方が苦味が少なくうま味や甘味が強い傾向があるため、実際には苦くて飲めないということはあまりないはずです。
いろいろな銘柄や点て方を試して、自分の好きな一服を見つけるのも醍醐味です。
茶道って女性がするものでは?
いかにも女性のお稽古という感じですが、元来茶道に夢中になっていたのは室町時代の商人や戦国時代の武将など男性中心です。
わび茶を完成させた千利休はもちろん、信長や秀吉も茶の湯を重視していたことは有名ですね。
茶道が女性に普及したのは、明治以降の女子教育として取り上げられるようになってからです。そのため、お点前も男性の体格を基準に作られている部分があり、女性だとややキツい体勢になることもあります。
男性のすっと構えたお点前も、女性の華やかなお点前も、どちらを見るのも楽しいひと時。
