楽焼・楽茶碗とは?
最終更新: 2020年4月16日
茶道具の一つとしてよく耳にするのが楽焼。 鑑賞のみですが、個人的にも一番好きなお茶碗。
シンプルながら奥深さを感じる凛とした佇まいに、 茶碗て何て素敵なんだろう…というトキメキが止まりません。 ここでは、そんな楽焼の歴史や特徴をまとめていきます。
楽焼の歴史
楽焼の歴史は、千利休の指導で楽家の初代長次郎が作ったところから始まります。 茶人というのは、茶室も茶道具もすべて自分の思い描くコンセプトがあり、プロに依頼して準備しているんですね。
その特徴は「わびさび」の精神を体現した簡素な佇まいにあります。 楽焼あってのわび茶の完成とも言えるのではないでしょうか。

楽焼とは狭義には楽家が作ったものを指し、一子相伝で現在は15代吉左衛門が当代を襲名しています。
もちろん茶道の先生は長次郎から吉左衛門までの15代をすらすら言えたりします。 が、庶民の私には(好き好き言っているわりには)なかなか覚えられません。 そこで、「なつのいそ さちとり たけこ せか(夏の磯 幸鳥 竹子 瀬か)」という語呂合わせがあります。 …果たしてこれは覚えやすいのか?という疑問はありますが、以下にご紹介しましょう。
な:初代 長次郎(ちょうじろう)※ながいの「な」 つ:二代 常慶(じょうけい)※同上 の:三代 道入(どうにゅう)※通称ノンコウから い:四代 一入(いちにゅう) そ:五代 宗入(そうにゅう) さ:六代 左入(さにゅう) ち:七代 長入(ちょうにゅう) と:八代 得入(とくにゅう) り:九代 了入(りょうにゅう) た:十代 旦入(たんにゅう) け:十一代 慶入(けいにゅう) こ:十二代 弘入(こうにゅう) せ:十三代 惺入(せいにゅう) か:十四代 覚入(かくにゅう)
楽焼の歴史は楽家とともに脈々と続いているのです。 本質的な部分を残しながら、時代に合わせた新しい試みも取り込み、進化し続けています。 何ともロマンに溢れています!!
楽焼の特徴
焼きものというと、ろくろを回すイメージがありますが、楽焼は手とヘラのみを使う手捻り(てびねり)や手捏ね(てづくね)という方法で形成されます。
形はシンプルなものから、ヘラで鋭い切れ込みを入れたものまで、それぞれの特徴が出ます。 手捻りだからこそ、やや不均一な形状に大らかさと繊細さが同居しているような魅力があります。

色は大きく鉄釉をかけた黒楽茶碗と、赤土に透明釉をかけた赤楽茶碗に分かれます。 利休が黒楽を好んだのに対し、秀吉は華美な赤を好んだとか。
ポイントは利用する土です。
二代前から寝かせておいた土を使うことで、バクテリアの働きにより熱伝導性が低く、軽くて丈夫な茶碗を焼くことができると言われています。
熱いお茶を入れてもしっかりと持つことができ、手に馴染みやすい。 飲み手にとって嬉しい性質なのです。
茶道のお稽古中にお茶碗を持つと、時おり「熱っっ!!」となります。 これが楽焼だったらきっと熱くないんだろうなあと、いつかどこかのお茶会で手にできることを夢見ています。
楽焼を鑑賞するには
数の限られた楽焼なので、実際に手に取れる機会はなかなかありません… ただ、以下のような美術館や展示会で鑑賞することができます。
実際に鑑賞すると、その凛とした空気、柔らかだったり大胆だったり個性の出る輪郭、繊細な貫入の味わいなどに魅了されるはずです。
当代が運営する楽焼に特化した美術館。数多くの作品を時期ごとの企画展で鑑賞できます。 楽美術館についてはこちらの記事でも書いています。
この投稿をInstagramで見る
yuko*chabako(@yuko_chabako)がシェアした投稿 – 2019年 1月月14日午前3時50分PST
世田谷にある美術館。豊富な茶道具のコレクションがあります。
この投稿をInstagramで見る
yuko*chabako(@yuko_chabako)がシェアした投稿 – 2019年 2月月3日午後1時37分PST